第449回東北放送番組審議会 議事概要

■開催日 平成15年9月12日(金)
■場 所 仙台国際ホテル
■出席委員 不破 和彦委員長、星川 滉一副委員長、原 秀一委員
菅原 雪枝委員、大塚 正宸委員、亰 けい子委員
佐々木孝行委員、阿部 育子委員、齋藤 茂雄委員
   


議事の概要

議題
・報道ドキュメンタリー番組「漁場がクジラに呑まれる!〜捕鯨再開を求める理由〜」
 放送日時 2003年8月30日(土) 午前9:30〜10:00

はじめに局側から今回の番組について、捕鯨禁止から15年という長い歳月も流れ、浅野知事がIWC総会に出席することになり、宮城県及び牡鹿町にとって大きな節目になると考えた。この機会にじっくりと捕鯨問題について考える必要性もあるのではないかと思い、クジラの捕食と漁業の競合関係をテーマに制作したと説明があった。
このあと番組について各委員から意見が述べられた。

(委員の主な発言)

◎ 番組は牡鹿の捕鯨についてだが、それだけでなく農業の分野や工業、様々な産業の分野や、我々の日々の暮しにおいても、一見ローカル的な事柄が実は世界的な規模の関係や枠組みの中でいろいろ規定され、あるいは成り立っているということを改めて認識した。

◎ 実際に本当に身近なところで、漁業関係の方々へのクジラの影響といったものがひしひしと伝わって来て、捕鯨の現状を改めて見ることが出来た。要望として具体的に、反対の側の意見ももっと聞きたかった。

◎ 知事がマラソンをしている場面があったが、なぜあそこでマラソンをしているのを入れなければならなかったのかと思った。ある意味での息抜きかなとも思ったが、パフォーマンスよりも、賛成あるいは反対の国の人と英語で歓談している場面を映してもらったほうが、知事もがんばったんだというのが窺えたと思った。

◎ 漁民の方の声に「クジラをとるか、我々をとるか」という言葉があったが、あれが今回の番組のキーワードではないかと思う。この問題は基本的にはクジラで代表させているが、共生、共に生きるという難しさだということで、クジラだけの問題だけでなく、今の世の中のほとんど全てのところに該当する部分があると思う。

◎ 環境保護団体の活動は“地球を守る”良い活動だと思うが、使命感だけとか自己主張になってくると他を受け入れないということを感じた。相手方の、何故そうなのかや、歴史などにも全然目も向けず、脅威にもなると思った。

◎ 最近浮上してきている“クジラによる漁業資源の捕食”という、漁民と真っ向から対立する問題に絞って取り上げ、地域のテレビ局としてあくまでも地域住民の立場に立って捕鯨再開を求める声を代弁する、はっきりとそういうスタンスに立って番組を作ったことも支持できると思う。ただデータの検証、提示の仕方で、やや厳密さを欠いているのではないかという気がする。

◎ 現状を伝えているだけで、これから先はどうなるのか、その方法は何なのかが全然語られていない。共生できる方法だとか、科学的根拠に基づいたこれからのあり方とかがちょっとでもあると、未来につながるような気がした。

◎ 地域密着型の良い番組だったと思う。クジラ文化に対する思い入れ、今後の可能性などを世界的な視野で捉えた、時期を得たタイムリーな番組だ。番組を見ながら日本政府の外交力の非力さを感じ、結局捕鯨問題は今後とも見通しは暗いと感じた。

◎ クジラとは何なのか、食べることが出来るのかどうかさえ実感として持っていない若い世代が、日本でもどんどん増えてきている。その世代に、この問題を理解してもらうことも必要だと思って考えると、なぜ商業捕鯨が禁止されたのか、その経緯についての説明が、もう少し詳しくあっても良かったのではないか思う。

◇次回開催日:10月10日(金)