第451回東北放送番組審議会 議事概要

■開催日 平成15年11月14日(金)
■場 所 TBCホール
■出席委員 不破和彦委員長、原 秀一委員、菅原雪枝委員
大塚正宸委員、亰けい子委員、田中昌志委員
佐々木孝行委員、阿部育子委員、齋藤茂雄委員
   


議事の概要

議題
・『生きる×2』走れ!和丸住職〜56歳の夏〜
 放送日時 2003年10月12日(土) 午前5:45〜6:15

はじめに局側から、今年は5年ごとに行われるラジオとテレビ局の、免許更新の年で、東北放送も10月29日に東北総合通信局から再免許の交付を受けたという報告と、引き続き委員側から10月に福島で開催されたJNN東北地区番組審議会についての報告があった。
議題に入り制作担当者から、シニア世代にターゲットを絞った番組で、自分なりの生き方を見つけ、心豊かに人生を送っているシニアの方を紹介し、視聴者を元気にさせようというのが一番のねらいで番組を制作している。今回は56歳の住職の、夫として、父として、宗教家として積極的に生きている姿をドキュメントしたと企画内容の説明があった。

(委員の主な発言)

◎ 主人公が日本の寺のタブーと思われるいろいろな問題を提起している勇気あ る行動と、その行動等を制作、放映している局側に拍手を送りたい。世の中 とかく矛盾が多い中で、とりわけお寺については非常に多くの矛盾を感じて いた。賛同できるものも多かったのは、同世代ということもあるからだろうと思った。

◎ 家庭生活のシーンが大変良かった。2人のお子さんがとても生き生きしていて、親御さんの姿に共感しているのがよく分かった。あの年齢というのは大変難しい年齢なのに、明るい笑顔で答えている素直さに、やはり和丸さんの生き方って本物なんだなと思った。

◎ シニア世代向きということで、放送時間帯が朝早いのかと納得したが、一方では将来シニアになる人、あるいはこれからシニアを支えていく人たちにも見て欲しいので、時間帯を変更するとか、再放送するとかの方法はないのかなと感じた。

◎ 和丸さんの宗派の親鸞の教えというのは、俗世間的で親鸞の教えをもう少し強調して欲しかったと思う。本質はこうだけれども、この人は時代と共にこういう生き方をするようになったというように。お寺の改革など全て肯定的になってしまっていた。

◎ 和丸住職の生き方は、他人に対して何か教え諭すという立場ではなく、むしろ集まってきた人たちの話に耳を傾け、その中から何かを学び取ろうとする非常に謙虚な姿勢というものを感じた。それがカメラのアングルなどからよく描かれていた。

◎ 30分番組なので、欲張り過ぎかもしれないが、住職がこういう生き方を選ぶに至った心の軌跡や、背景が分かる作りだったら良かったと思った。

◎ 地域と共に生きて、共に育んでいるというところが、自分自身も育て、地域も育てているというような気がした。風貌から見ると、キリスト教的でもあり、お寺にこもっていないで外に出て行くという部分では、まさに伝道師というような気がした。

◎ 3部構成の中で和丸さんを浮き彫りにしたと思った。1番目は、和丸和尚のキャラクターを全面に出していること。2番目はお盆の時に、過去、現在、未来を上手に表していること。3番目は、居酒屋での説法で、宗教家である前に人間だということを表したこと。

◎ 院号やお墓から〇〇家をなくすということに対して、檀家の人たちがどういう反応を示したのか。しがらみの世界で生きている人間との葛藤があったような気がするので、和丸さんがどういうふうに説得をしたのか、もう少し突っ込んで欲しかった。

◎ 和丸さんは、法衣でカリスマ性を持たせなくても、風貌で十分カリスマ性があると思う。カリスマ性というのは、宗教家としてすごく必要だと思うが、カメラが家庭内に入り込み密着し過ぎて、ミステリアスな部分が、無くなってしまったんじゃないかなと思った。

◎ 檀家の人たちや地域社会とのコミュニケーションに、ある意味ではヨーロッパの教会が果たしているような地域のオーガナイザーなり、センターとしての役割のような、新しい寺のあり方や、住職の生き方をいろいろと考える良い番組だったと思う。

◇次回開催日:1月16日(金)