第452回東北放送番組審議会 議事概要

■開催日 平成16年1月16日(金)
■場 所 TBCホール
■出席委員 不破和彦委員長、星川滉一副委員長、原 秀一委員
大塚正宸委員、亰けい子委員、阿部育子委員
齋藤茂雄委員
   


議事の概要

議題
・ラジオドキュメンタリー 俺たちは天使じゃねぇ〜バリアフリーはマットの上にある〜
 放送日時 2003年8月31日(土) 午後1:00〜2:00

初めに局側から、企画内容の説明があった。番組は昨年6月、障害者のプロレス団体の初の仙台興行があり、興行を支える実行委員会のメンバー、スタッフの面々にも焦点をあてて、プロレスというスポーツに自己表現の場を見つけた人々の闘いの記録を追った。よくありがちな“社会の壁を打ち破ろうとする彼らの活動を追う〜”といったような社会的な視点は排除し、あくまでも動きそのものを重視した番組を心がけた。番組を聞いた方に、「今まで自分たちが考えていた障害者像、あるいはバリアフリーって何だったのだろうか」と問いかけるような番組が出来ればと制作した。

(委員の主な発言)

◎ 構成も良く、起承転結もはっきりしていた。作り手がまずは障害者プロレ スを見て、驚いて、そして理解して感動しながら作っていったというのが伝わってきた。プロレスが出来るのなら何だって出来る可能性があると思わせてくれた番組だった。

◎ プロレスというビジュアルな部分を、様々な会場や現場の雰囲気を音で表現し、臨場感があり実際に見ているようなイメージを持つことができた。スポーツというよりはむしろ前衛芸術のような、昔のアングラ演劇のようなものを連想する気がした。

◎ 心に垣根がなければバリアフリーではないかと思う。番組を通して心の垣根が少し低くなるとか、外されるとか、障害者プロレスを見てみようかという関心を持ち、心を揺り動かされるという意味では、この番組の意義は大きかったのではないかなと思う。

◎ プロレスというのは基本的には見て分かるものだと思うので、なぜテレビでなくてラジオ番組なのかよく分からなかった。何かを訴える時に、題材としてこれが本当にラジオに合うのかどうなのか疑問を持った。

◎ 「俺たちは天使じゃねぇ〜」の悪ぶったタイトルはどんなものだろうか。障害者=天使という世間一般の常識というようなものが前提となっていて、それを否定するタイトルになっている。それに「〜じゃねぇ」と悪ぶっていて、プロレスをやるような奴は相当な悪でという固定観念が感じられ、タイトルに一種のバリアというものを感じた。

◎ 最初プロレスと障害者がどうしても結び付かなかった。健常者よりももっと力の弱い人が死闘を繰り返せば繰り返すほど、痛々しい、生々しい感じが先に来て、もしテレビだったら消してしまうだろうと思った。プロレスという形を借りて障害者の自己実現をしようとした人を無理に美化し過ぎているのではないかという感じさえした。

◎ 障害者にもそれぞれの個性、健常者にもそれぞれの個性があり、プロレスを好んだ彼らは自分の発揮手段としてさわやかな印象を宮城に残したと思う。

◎ 最近を振り返ってみると、想像もつかないような新しい考えや行動というのが色々な分野で現れて来ていると思う。今回取り上げられた障害者のプロレスも、10年ぐらい前からやっていたというが、私自身知らず、時代の状況に少々無関心になり過ぎているという思いを改めて感じながら聞いた番組だった。

◇次回開催日:2月13日(金)