第455回東北放送番組審議会 議事概要

■開催日 平成16年4月9日(金)
■場 所 TBCホール
■出席委員 不破和彦委員長、原 秀一副委員長、菅原 雪枝委員、亰 けい子委員
阿部育子委員、齋藤 茂雄委員、佐々木正幸委員、岡崎 智政委員


議事の概要

議題
・「ラジオドラマ「バスはまだですか?」

平成16年度、17年度の新年度に入り新委員3名が紹介され、局側から4月からのテレビ、ラジオの番組編成について報告があった。続いて今回の審議番組「バスはまだですか?」は、“帰りたい”という言葉をキーワードとして、いろいろな背景を持ちながら生きてきた老人たちの姿や、大人からの愛情が薄く、人とコミュニケーションを取ることが苦手な主人公の成長過程を描いたドラマ等、企画内容の説明があった。

(委員の主な発言)

◎ 夢のような、現実のような、計り知れないドラマだった。楽しい内容のドラマだったら1時間はあっという間だったと思うが、この1時間は実に重い1時間だった。

◎ 植物人間と痴呆がどう違うのか。人間として生きるということを自分自身で感じない状況にこれから自分自身が向かって行くとすると、どうすればいいのか考えさせられた。

◎ 番組のキーワードは“老いと若さ”だと思う。主人公の多加志の若さと老人たちの老いをどう理解していくかが1つのテーマだと感じた。また、今の若い人たちが何を悩んでいるのかが出せると、“老いと若さ”の若さの部分に、もっと厚みが出たのではないか。

◎ 全体的に、もやっとした、灰色懸かった色の付いた空気を感じるような番組に仕上がっていたと思う。見たくないもの、臭いものに蓋をして閉ざしてしまわず、例えば障害者の問題や、老人ホームの問題とかも伝えていかなければいけないと思う。

◎ 東北放送のローカル番組にしては、番組の中に仙台の地名、仙台らしさ、みちのくらしさなどが出て来ていない。地域の皆さんが親しみを感じる地名や雰囲気が出てくると、伝わり方が現実味を帯びてきて、良いインパクトを与えたのではないかと思う。

◎ 少年がいろいろな葛藤を抱えていて、それを乗り越えるのにあの老人たちの力が必要だったんだと思った。なにか得体の知れない不安感に関わりながら人は生きていて、そこから抜けだし、自分探しをしてきたんだという心地良さを感じた。

◎ テーマを盛り込み過ぎたと思う。今の社会を象徴するような少年問題、老人問題、家庭不和の問題が入っている。これが未整理のままドラマに突っ込んだという印象を持った。

◎ 舞台の設定で、重い扉を開けて、暗証番号をどうのというところがあるが、本当に痴呆老人を抱えるホームというのは、そういう閉ざされた所になっているのか疑問に思った。

◎ 主人公と妹とのエピソード、辰夫、誠一、初枝とそれぞれの説明的なものが多すぎて、誰か一人の夢に絞ったほうが狙いが明確になったのではないかと思う。

◎ 痴呆老人が対象だが、人間というものを考えさせる番組だ。また17歳の少年が、自己表現の出来ない痴呆老人の心情の理解に迫りながら、人間性を取り戻していくというように、いろんな課題を投げかけている良い番組だった。ただやや難し過ぎると思った。

◇次回開催日:5月14日(金)