第462回東北放送番組審議会 議事概要

■開催日 平成17年1月14日(金)
■場 所 TBCホール
■出席委員 不破和彦委員長、原秀一副委員長、亰 けい子委員、阿部育子委員
岡崎智政委員、佐々木昭男委員、奥野 洋一委員


議事の概要

議題
・ラジオ番組「満州・幻のイーハトーブ」

番組は、現在の長春市に戦前から敗戦時にかけて「建国大学」という日本の大学が存在した、その建国大学とそこに学んだ学生の足跡をとりあげたドキュメンタリー。

(委員の主な発言)

◎ バイオリンの響きや宮沢賢治の「精神歌」が心に残った。戦争という大きな歴史の流れの中、「建国大学」の創設理念が宮沢賢治のイーハトーブの世界と重なる部分があり、学生たちがそれを歌う姿、当時を語る言葉に、複雑な学生たちの思いが浮かんできた。

◎ 番組が癒してくれるように、心地良く耳に入ってきた。満州は知っているが、たかだか60〜70年前に、日本が学校をつくり、本などの制限や、思想の統制もしないで、それぞれの民族が寝食を共にする環境が意図的につくられたということを知って驚いた。

◎ 聞き終わって、映像が見たいということを強く感じた。建国大学という実体が在ったわけで、そこからラジオドキュメンタリーには何がふさわしいのかや、良い面、悪い面、あるいは長短を考えてしまった。

◎ 最初の頃には思想的にも非常に自由だったが、戦局が厳しくなりどんどん統制的な方向に向かっていった。そういう大学の自己矛盾を、もう少し突いてくれると番組として奥行きが出たと思う。

◎ 何回もテープを聞き直したが言葉がよく分からなかったところがあり、そこが残念だった。音楽の使い方やインタビューの間などは、とても良く出来ていると思った。

◎ タイトルの「満州・幻のイーハトーブ」は、あくまでも日本人にとってのイーハトーブであって、中国や朝鮮等にとってはイーハトーブなんてものではないし、幻ですらないと思う。そういう意味では、あくまでも日本人から見たテーマのつけ方という気がした。

◎ 東北にゆかりのあるテーマを見つけ、よくこれだけの素材を集めて番組に仕立てたと思った。時間的なものと、日本や中国、満州といった空間、地域的な広がりがある。それといろいろな民族がいることで、この物語が奥深くなっているのではないかと感じた。

◎ タイトルはとてもファンタジーっぽいが、実際に聞いてみるとかなり重いテーマが入っていて、タイトルと内容とのギャップがあり、イメージしていたのとは違っていた。

◎ 中国や韓国に行くと、日本の戦前の植民地支配に対する歴史観とか、それに対する国の対応に関する批判が必ずと言っていいほどに出てくる。そういったことを踏まえて、アジアの中での日本人の意識を問いたいのであれば、素材としては戦前であっても、今のアジアの中での日本の役割というものを問う番組にも為り得たと思う。

◇次回開催日:2月10日(木)