第463回東北放送番組審議会 議事概要

■開催日 平成17年2月10日(木)
■場 所 TBCホール
■出席委員 不破和彦委員長、原秀一副委員長、亰けい子委員、田中昌志委員
阿部育子委員、齋藤茂雄委員、佐々木昭男委員、奥野洋一委員


議事の概要

議題
・テレビ番組「三陸から地中海へ!マグロ大紀行」
 放送日時 2005年1月23日(日) 午後2:00〜2:54

番組はタレントの照英と芳本美代子が塩釜を起点に、日本各地とスペインを取材し、日本人の食文化になくてはならないマグロの現状とそして世界のマグロ事情を熱く伝えた。

(委員の主な発言)

◎ 映像がきれいで大変楽しませてもらった。塩釜が本マグロの水揚げ日本一でシェア70%ということを知らず、身近にそんな所があったのだということで驚いた。マグロの消費量の半分近くを日本で消費するということにも驚いた。

◎ 日本でマグロが大量に食べられるようになったのは戦後だと言うことだが、その変化や、日本人の食生活や嗜好の変化というものが、どうしてそうなってきたのか、もう少し掘り下げてリポートして欲しい。

◎ 寿司屋で食べたトロを「大間産」と言っていたが、大間のマグロは塩釜に揚がるのか?寿司屋は別ですよということなのか、我々は大間産のマグロは全部築地に揚がると思っているので、あれは築地から来た「下りもの」になっているんじゃないかと思う。

◎ 塩釜がなぜ漁師たちに好まれて、水揚げが増えるかというところで、高い値段で良いものだけを買ってくれる「塩釜ブランド」というものが確立しているということだが、その背景が弱かった。だがそういうことは宮城県民としてはとても誇りに思った。

◎ 生簀養殖のマグロの産卵地がスペイン沖ということは初めて知り、東南アジアでの海老の養殖同様に、おそらく日本の商社が考えついたことではないのかと思い、新たな発見をした。食文化の違いも垣間見ることができ、やはり食べ方は、ネタが良ければ生が一番で、刺身はともかくお寿司は日本が誇る最高の料理だということを改めて感じた。

◎ 日本人とマグロとの関わりを、楽しみながら習得ができたのではないかと思う。近海における漁獲方法、仲買人の魚の良し悪しの見立て、流通過程などがよく分かった。また二百海里問題を経て世界各地から調達せざるを得なくなったこと、しかしこのことは回転寿司などの隆盛に関わりがあったのではないかなとも感じた。

◎ スペインで無理やり船を出してしまったんじゃないかと思った。意気込みはわかるが、天候の悪い時に粘って、結果的にはうまくいったが、あれでよかったとは素直には思えなかった。演出的な効果も狙ったのかもしれないが、後味が悪い感じがし残念だった。

◎ マグロは宮城県の宝であり、塩釜は近海マグロ水揚げ日本一、気仙沼は延縄で生鮮日本一なのを多分わかっていない人は多いと思う。そういう意味で、塩釜の、宮城県の財産としてのマグロをテーマとして扱うということの意味は、非常に大きいと思った。

◎ 紀行番組なのか、グルメ番組なのか、あるいはマグロに情熱を燃やす人たちの人間ドラマなのか、その辺の絞り込みが足りなかったのではないかと思う。全部を盛り込み過ぎたのではないかという印象を受けた。

◎ すんなり1時間見ることができたが、それはとても大事なことで、バックミュージックやナレーションも、視覚の邪魔にならず、肩に力が入っていないという意味では力作ではないのかもしれないが、大変な佳作ではないかと思った。

◎ グルメ番組にしては仕掛けが大き過ぎる。といって、世界中から食物を買いあさる日本人への警鐘という意味合いでもなさそうだ。となると、どんな意図で何を言おうとして制作したのかが全く分からない。マグロを軸にした紀行番組と割り切ることもできなくはないが、それだとあまりにももったいないつくりだ。

◎ 番組を通して何を訴えたかったのか、例えば食材や食文化に徹して作られた番組かというと疑問がある。スペインにまで行っていながら、マグロをめぐる食文化の紹介はあったが、対比できる量が用意されたかというと、説明として不足だったと思う。

◇次回開催日:3月11日(金)