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◆内田けんじ監督トークショー
サンフランシスコ州立大学で映画を学び、帰国後に自主制作した作品が「ぴあ
フィルムフェルティバル(PFF)」にて入賞、第14回PFFスカラシップの権
利を獲得して本作品を制作した内田けんじ監督。その『運命じゃない人』のプレ
ミアム上映におじゃましてきました。作品上映後には客席から拍手が湧き起こ
り、興奮を鎮めるかのような5分間の休憩を挟んで、内田監督と仙台フォーラム
スタッフによるトークショー&質疑応答が行われました。笑いが絶えず終始なご
やかな雰囲気の中にも、監督の熱い思いがビンビンと感じられました。
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●この作品を作ったきっかけ〜着想は何から得たのですか?
携帯電話ですね。僕は20〜25才までアメリカにいたんですが、日本を出る時は誰
も持っていなかった携帯電話を、帰ってきたらみんなが持っている。携帯という
のは、相手がどこにいるのか、どんな状況なのか、かける時には分からない。も
しかしたら死んでるかもしれないし、人生の大事な場面にいるかもしれない。か
かってきた電話で間を外されたりという経験は多くの人がしていると思う。そう
いう携帯の「人生に割り込んでいく感」がとても面白いと思いました。
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●ぴあスカラシップについて。
以前はPFFでグランプリを受賞した人にスカラシップが贈られていたんです
が、僕の時から、入賞者が一人一人脚本を書いてプレゼンをし、そこで選ばれた
人だけがスカラシップをもらえるというふうに変わったんです。そのプレゼンで
僕が提示した脚本というのは、それこそ成田空港を貸し切りにでもしなきゃでき
ないような、2日間にわたる別展開のストーリーで、2時間弱くらいの長さのもの
だった。ところが、というか、今にして思えば当然なんですが、それを映画化す
るには2億円かかる、ムリだ、短くしなさいと言われまして(笑)。スカラシッ
プの予算は2500万、撮影期間も2週間と決まっていたので、それに合わせて脚本
を書き直したわけです。
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●『運命じゃない人』というタイトルは…。
もともと、合コンの帰り道「運命の人を探さなきゃいけないんだ」「運命じゃな
い人ばっかりだな」というセリフがあって、それから取ったんですね。脚本を書
き直した時に、そのシーンは削ってしまったんですが。タイトルの意味は、観る
人それぞれが好きなように捉えていただいて構わないし、そうしてほしいと思い
ます。
●海外の映画祭にも出品されましたが、そこでの反応は?
カンヌ、ドイツ、韓国の映画祭によばれて行ってきたんですが、反応は「派
手!」という印象でしたね。笑いの量が。映画の中で、2人が「すいません」
「すいません」と言い合うシーンとかが、きっと彼らの持っている日本人のイ
メージに合ったんでしょう。
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韓国では主人公の宮田が登場した時に、その異常に
狭い肩幅のせいなのか、アニメのキャラクターが出てきたかのように笑いが湧き
起こっていました。韓国の反応が一番良かったかなあ。観客が日本よりアメリカ
に近い感じですね。
●カンヌで受けたのは、何が良かったのだと思いますか? カンヌ系の作品は文学的で静かで詩的というイメージがあったけど、こんな軽い
のもあるのかという新鮮さがあった、ということはよく言われました。実は僕
も、カンヌに出るような映画はキライなんて言ってたんですが(笑)、カンヌに
よばれてから好きになりましたね。
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●この映画に対する思い入れを聞かせてください。 今は携帯やパソコンでイージーにコミュニケーションが取れる時代。例えば、好
きな子にもメールなら気楽にできる、相手も気楽にメールを返してくる。そうい
う薄い関係が続くわけです。でも、ちゃんと付き合うには、人との信頼関係を築
くには、結局昔と同じだけのエネルギーが必要なんですね。映画の中にもそんな
シーンがあります。いつも思っていることなんですが、世間一般に恋愛でうじう
じするのは男の恥だみたいな風潮があるけど、そんなことはない。人間、男と
女、オスとメス、そんな気持ちでいないと、いやほんと駄目だと思いますよ。
現在取り掛かっている次回作は「ラブコメです」という内田監督。今作品のよう
に時間軸をいじる予定はないのだとか。練りに練った脚本で、さらりと人間の機
微、人生の機微をエンタテインメントとして見せてくれる新鮮な感覚に大いに期
待しています。
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