Ⅲ 円熟期から晩年へ

『ぼくは日本国中ほとんど歩いてしまったので どうしても外国を見物したい』そう語る清は、1961(昭和36)年、初めてスケッチブックを抱えヨーロッパの旅に出掛けました。約40日間で9ヶ国を巡る慌ただしい旅ではありましたが旅先で50点以上ものスケッチをし、帰国後、貼絵、水彩画、素描などの作品に仕上げました。

また、晩年には視力の低下により貼絵の制作が困難になっていましたが、その時に力を入れていたのが、色の褪色が無い陶磁器への絵付けでした。さらに、清の心の中には、もう一度貼絵の大作を創作したいという思いが常にあり、「東海道五十三次」に挑むことになったのです。ペン画で描いた後、最終的に貼絵にすることを夢見ていた本作は、残念ながら貼絵にこそなりませんでしたが、その緻密な作品に清の画家としての才能を垣間見ることができます。

左上《ロンドンのタワーブリッジ》貼絵.1965(昭和40)年
右上《パリのエッフェル塔》水彩画.1961(昭和36)年
左下《大文字焼風景(牛ノ戸焼)》鉄釉壺.1956(昭和31)年
右下《東海道五十三次:15 富士(吉原)》版画.制作年不詳(C)清美社

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