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祇園の姉妹 祇園の姉妹


■□花柳界に生きる
□■芸妓の叫び

京都の祇園乙部の若い芸妓・おもちゃ(山田五十鈴)は、 男に尽くす昔気質の芸妓の姉・梅吉(梅村蓉子)とは正反対で、 自分らを慰み物にする男たちから出来るだけ搾り取ってやろうという女である。 ある日、梅吉を世話していた古沢が破産し、おもちゃたちの家に転がり込んでくる。しかし、おもちゃは姉の意に背いて古沢を追い出す。 そして、何人もの男たちに甘言を弄して自分と梅吉の旦那になってもらい、金品を得ようとするのだが、結局は男からの報復を受ける。
●監 督溝口健二
●出 演山田五十鈴、梅村蓉子、久野和子、大倉文男、深見泰三、林家染之助  他
●データ1936年/日本映画/69分
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<評>★★★
■姉妹と書いて「きょうだい」と読む。劇場でチケット買うときに「ぎおんのしまい」1枚と云って恥かいた。が、恥かいた分の得はあった。だいぶ古くてフィルムの状態が悪く、前見たときはほとんどせりふが聞き取れず、話がさっぱり分からなかった。今回、フォーラムでじっくりと見直すことができたのは、まことに幸福であった。おもちゃという山田五十鈴が演じる芸子は、溝口の後の作品『祇園囃子』の若尾文子を思わせる。若尾は新米芸子でお姉さんについて修行していく話だけど、山田のおもちゃはもう海千山千のベテランだ。実はこの映画、芸子の話でありながら、お座敷のシーンが驚くほど少ない。特におもちゃの座敷は皆無である。お座敷の見せ物よりもドラマの方に焦点を集中させている。つまりあまり息つく暇もないぐらいに展開が早いのだ。ここでのおもちゃは、貧乏な中、男をたぶらかして必死に生き抜こうとする。一方で同じ家に住む姉さん(梅村蓉子)は、落ちぶれた旦那を居候させるお人好しだ。この「きょうだい」の葛藤の中に祇園の生き方を描ききった名作である。こういうのを見ると「さゆり」とかいう中国人の演じる芸者がいかに偽物であるかがよく分かるのである。(とはいえ、個人的にはツィイーも大好きなんだけどね。)〔ユビュ〕

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