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●Disc.16
「イルミネーションのLEDって一体何なの?」
M.N.まぐまぐさんからのご質問は
「我が家でもクリスマスイルミネーションに挑戦したいと毎年思っているのですが、電球とLEDの違いが良く分かりません」
というものでした。
たしかにLEDって……仕組みを説明するとなるとわけわからん(笑)!
早速リサーチをスタートです。
まずは、何はともあれクリスマスイルミネーションが美しいお宅を訪ねる事に。
岩沼市内にお住いの馬場田真広さんは、イルミネーション歴3年。子ども達に喜んでもらいたかったのが、飾り付けを始めたきっかけです。
1歩庭に入ると、ウットリするような幻想的な空間が広がります。
イルミネーションは、そのほとんどがLED。眩いばかりの光が、絶妙に工夫された配置で庭を彩っています。余計なお世話ですが、電気代が心配になりました。
すると馬場田さん、イルミネーションのみ概算で「月760円」とおっしゃるではないですか!
ビックリするほどお手頃に感じます。これぞLEDの本領発揮……なのでしょうか?
だからこそ知りたい、LEDって一体何なんでしょうねぇ。
LEDの専門家を訪ねて、東北大学学際国際高等研究センターへ。
八百隆文先生に、まずはLEDの仕組みを説明して頂きました。
LEDとは Light Emitting Diode=発光ダイオードの事。
電流を一定方向にしか流さない「ダイオード」と呼ばれる半導体素子が、光るのだそうです。
八百先生は素人の私にも分かるようごくごく簡単に、光るメカニズムを教えて下さいました。
電圧をかけエネルギーの高い状態になった半導体は、このエネルギーを外部に放出する際、光を放つ性質があります。LEDはこれを利用した照明というわけですね。
高い状態から低い状態へ。エネルギーの「落差」で光を起こすLEDは、水が高い所から低い所へ流れる時に電気を起こす、水力発電と同じだと八百先生は言います。
そんなLEDのメリットを、下記にまとめてみました。
(1) |
電球や蛍光灯のようにガラスで出来ていないため、衝撃に強い。 |
(2) |
球切れがない。故障で光らなくなったとしてもLEDを信号機に利用した場合「複眼」で あるため、ごく小さい範囲=1粒だけが消えて、信号灯としての機能は保たれる。 |
(3) |
輝度が高いため、遠くからでもよく見える。 |
(4) |
何より消費電力が小さい。電球の約10分の1! 仮に世界中の照明をすべてLEDにしたとすると、CO2で2〜3%の削減効果があるそうです。 |
良い事づくめに見えるLEDですが、そういえば……白熱電球にこだわっている仙台の風物詩がありますよね〜。
「光のページェント」です。あれはどうしてLEDに交換しないのでしょうか?
直前実行委員長の高橋清文さんにお話を聞きました。
高橋さんはボランティアでかれこれ12年間、ページェントに関わっている方。美しいイルミネーションへの思い入れは人一倍のはずです。
そんな高橋さんによれば、光のページェントはキリスト教の教会や大聖堂のロウソクをイメージしているとの事で、この温かい光にこそ意味があるというのです。
ちなみにページェントの電気代は、去年の場合1日4万円少々。これが高いと思うか、安いと思うかは人それぞれなのでしょうが、高橋さんいわく「150〜200の世帯の方が、家の電気を消してページェントを見に来てくれれば、その分の消費電力が減らせると思います」。
光のページェントの電球を、LEDに変える事は考えていないのでしょうか?
高橋さんによると現段階では莫大な費用がかかってしまうとの事。
ちなみに八百先生の計算では、LEDは現在1粒=約1,000円。光のページェントの60万個(2008年の場合)の電球をLEDに換装すると、何と6億円という金額になってしまうのです!
ページェントは市民の募金で成り立っているイベント。そこまでの負担をお願いするわけには行かない……という実行委員会の意見は、理解できます。
実は、光のページェントの電球は大手メーカーに特別にこしらえてもらった物。壊れても修理を繰り返して使っているそうです。
LEDはたしかに熱を発しないかも知れませんが、電流を一定に保つ整流器を枝に取り付ける必要があります。
コレがとても重いらしいのです。現在の技術では、ケヤキの枝にかえって負担をかけてしまうというわけですね。
電球とLEDについて、メリット・デメリットなど様々ご紹介して来ました。
これであなたも、イルミネーションの見方が変わるかも知れませんよ!
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