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●Disc.22
「春先に車のケアを!融雪剤の功罪を考える」
車を運転する方は夏タイヤへの交換のタイミングが気になる時期だとは思いますが、春先に必要な車のケアって実はそれだけぢゃないんですね。
何でも、ひと冬頑張ってくれた愛車をそのままにしておくと、融雪剤の影響が出てしまうというのです。
さっそく融雪剤を見せて頂くべく、除雪車の基地である泉区松森の防災ステーションを訪ねました。
国交省・仙台河川国道事務所の田口和弘さんにお願いすると「コレが融雪剤です」と見せて下さったのは何と「塩」!
ええ〜っ!?正直言うと、塩化カルシウムだとかって話は聞いてたんですけど、まさか塩=塩化ナトリウムだとは思いもしませんでした。
舐めてみるとたしかにしょっぱい。
塩化カルシウムや塩化マグネシウムを使う所もあるそうですが、大量に使うとなるとコストの問題で塩化ナトリウムが最も効率が良いのだそうです。
何と言っても原料が海水。調達は容易ですよね。
塩は、水が凍る温度(凝固点)を下げる作用があり、散布する事で凍結を防げます。濃度を上げて使えば、-20℃程度まで効果があるのです。
そんな塩が、どうして車に影響を与えるというのでしょうか?
田口さんは「塩が車体に付着したままだとサビの原因になる事が考えられる」と言います。
サビとは金属が酸素と結合する事……つまり酸化する現象。空気や水に触れるだけでも反応は進みますが、塩に含まれる塩素イオンは金属表面の被膜を壊し、空気や水に触れやすくさせてしまうため、サビの進行を早めてしまうのです。
それでも塩を融雪剤として撒かざるを得ない。
車好きとしては正直納得が行かない所もあるのですが、スパイクタイヤが粉塵の原因だとして法律で使用禁止となった’91年以降、融雪剤の使用量が増えたのは事実だそうです。
スタッドレスタイヤの性能が向上したものの、路面凍結による事故を防ぐためとして、現在まで融雪剤は使われています。
どなたか車体(と、もちろん環境)に優しい融雪剤を開発して頂けないでしょうか?
現状では、融雪剤を洗車できちんと落とすしかありません。
我々は洗車の達人がいるというガソリンスタンドを訪ねました。
泉区八乙女のJOMO八乙女店。
2人1組の呼吸を合わせ、華麗な動きで愛車をピカピカにしてくれるプロの技。
あっという間にボディが見違えるような輝きを放つのです!
達人の上遠野(かとおの)勝義さん、この時期の洗車のポイントを教えて下さい。
「タイヤハウスの上や奥の見えない部分に融雪剤が残りがちです」
なるほど。しかも融雪剤は家庭用ホースの水圧では削ぎ落す事が出来ず、高圧洗浄機も使いながらプロの手作業でなくては完全にキレイにしにくいのだそうです。
理想を言えば、融雪剤のまかれた道を1回走るごとに洗車するのが良いとの事ですが、現実問題としてそうも行きませんね。
だからこそ冬が終わる今の時期、下回りのケアを入念に行ない、ひと冬の「痕跡」をまとめて洗い落としてしまいましょう。
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