ど〜なの?DJ
皆さんからの素朴な疑問・質問にお答えするべく
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[平成21年9月9日(木)放送]
画像 画像 画像 画像 画像 画像 ●Disc.33

「沼と池と湖の違いって?」

前回の「長沼のハスが咲かない!」の放送を見た視聴者の方から、新たにご質問を頂戴しました。
青葉区のM.N.まりんちゃんからです。
「沼と池ってどう違うんですか?」
という質問に、首をひねる僕。
「ついでに湖についても教えて下さい」。う〜ん。

リサーチ開始。まずは広辞苑でもひいてみますか。
「沼」からですね。広辞苑には、湖の小さくて浅いもの、ふつう水深5m以下で泥や土が多く、水生植物が生い繁る……などとあります。

んじゃ「湖」を調べてみよう!
周囲を陸地で囲まれ、中央部が沿岸植物の侵入を許さない程度の5m〜10m以上の深さ……との事。なるほど……何となく分かるのは、沼より湖のほうが広くて深そうって事でしょうか。

「池」は何て書いてあるのかな?
「地面を掘って水をためた所。自然のくぼみに水のたまった所」。
あれれ?何だかよく分からなくなって来たぞ。「池」ってかなり大雑把なんぢゃないですか???

我々は仙台市内に、池と沼が隣り合う場所を発見しました。
青葉区上愛子の月山(つきやま)池とサイカチ沼です。
2つを比較すれば、ひとまず沼と池の違いは分かるかも知れません!
資料映像を携えて、東北大学大学院を訪ねました。
日本語の語彙について研究する斎藤倫明(みちあき)教授に、両方の映像を見比べて頂きます。

まずは月山池の様子から。
斎藤先生いわく「池」という言葉は、広さや深さ、人工物か否かを問わず、一般に水のたまった場所を指すのだそうです。
ですから、「月山池」に関しては言葉の定義上、ネーミングに違和感はないという結論になります。

問題は、お隣のサイカチ沼です。
先生が映像を見る限りでは透明度が低く、植物が生い茂っている感じからも「沼と呼んで違和感はない」との事ですが、ココは手元のデータによると、最大水深が何と12mもあるのです。
沼について 「5m程度まで」 とする辞書の定義を見るかぎり、サイカチ沼は 「沼」 と呼ぶには深すぎるんぢゃないですか?

斎藤先生のお答えはこうです。

「そもそも固有名詞のネーミングは、土地の人の印象や歴史的背景など個々の事情に照らして決まるもの。
辞書にある一応の定義とは、食い違う事も多い」

画像 画像 画像 なるほど。それでは、なぜ隣同士の月山池とサイカチ沼に、ネーミングの違いが生じたのでしょうか?
謎を探るべく、我々は仙台市農林土木課の佐々木課長にガイド役をお願いし、現地調査を決行しました。

錦ヶ丘付近から山道を分け入り、サイカチ沼と月山池に挟まれた駐車場へ。
2つの沼・池は水路でつながっており、距離にしてものの10mしか離れておりません。
サイカチ沼の岸辺を歩いていると、どう見ても人工の池としか思えない水門などの設備がすぐに目に入ります。

佐々木課長によれば、サイカチ沼は大正時代に仙台市の灌漑用水確保のために作られた人工のため池なのだそうです。
隣の月山池も、少し遅れて昭和初期に建設された、やはり人工のため池。しかし、両者には決定的な違いがありました。

佐々木課長
「サイカチ沼の場所には古くから小さな水場があり、地元の人々が沼と呼び習わしていた……そんな記録が残っております」

なるほど。サイカチ沼は今ある形は人工物でも、元々ココにあったとされる水場の呼称が現在まで引き継がれているのでした。
対する月山池は、完全に人工の、いわば「ダム」。
「沼」と「池」の違い、斎藤先生がお話してくださった「個々の事情で名前が決まる」という好例が、比較可能な形で見つかったわけです。

それにしても、名前の背景には様々な背景があるものなのですね。
深い!底なし沼より深い!!



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