ど〜なの?DJ
皆さんからの素朴な疑問・質問にお答えするべく
DJ淳吾が調査・奮闘するコーナー。
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[平成22年2月24日(水)放送]
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「国民病に挑む!〜花粉症の今と未来〜」

今回は、いよいよ憂鬱な時季が始まるスギ花粉症についてあれこれ調べました。
かくいう私も重症患者なんですが、最近周りでも花粉症の人が増えてるように思えてならないんですね。
たしかに「国民病」ともいわれ、仕事の効率が落ちる、患者が外出しなくなる……といった直接の経済的損失は、大手生命保険会社の調べで毎年3,000億円とも推定されています。
実際のところ、はたして……。

東北大学病院で、耳鼻咽喉科がご専門の大島猛史先生に疑問をぶつけました。

あの〜やっぱり花粉症の患者さんって増えているんですか?

先生の印象では、やはり昔と比べ増えているとの事でした!
ご紹介いただいた信頼のおける統計でも、花粉症の患者は一昨年までの10年間で国民全体の16%から26%に増加。何と、4人に1人の割合まで増えているというんですね。

その理由は、以下の何点かが考えられるそうです。

@ 戦後の植林事業で大量に植えたスギが、成長して活発に花粉を飛ばすようになった。
花粉症の報告は1960年代後半から急激に増えたとの事です。
A 舗装道路が増え、私達が花粉を吸い込む機会が増えた。
未舗装路では、花粉は地面に落ちればそれで終わりです。ところが舗装路面では風で再び舞い上がる事も多く、結果的に私達が吸い込む高さに花粉が滞留しやすいようです。
B 他にも、生活環境が衛生的になった事で、以前に比べ私達がアレルギーを起こしやすくなったとも言われているそうです。

では、私も花粉症に苦しむ1人としてズバリお伺いします。
花粉症って……治りますか?

先生は少し間を置いて、こう答えられました。
「……治りません」

ひえぇぇ!ショック……。
症状を和らげる方法はあっても、人によって効果や副作用が違ったり、基本的な体質改善をするものではない事から、医学的にコレといった治療法がないそうなのです。とほほ。
それなら花粉症との付き合い方を聞いて退散しましょうか。

コレについても大島先生いわく「マスクやメガネなどで、出来るだけ花粉を吸い込まない工夫をするしかありません」との事でした。
先生は「お役に立てずスミマセン」なんて仰っていましたが、基本的な事を専門家から教えて頂けた事は、今回の取材の大きな収穫だったと思います。
先生、ありがとうございました!

さて。花粉症が治らないからといって希望を捨ててはいけません。
取材班は「国民病」に根本から取り組む研究を行なっているという、県中部の大衡村へ向かいました!

県林業技術総合センター。
1933年=昭和8年の開設以来、80haという広大な敷地で、木材や林業全般についての様々な研究を行なっていますが、ここ20年近く、花粉の少ないスギの開発に力を入れて取り組んでいるのです。

七ッ森を望む敷地内の山林で、主任研究員の今野幸則さんとお会いしました。
今野さんは、低く生長させた親の木=母樹から穂を採る、毎年この時期に行なう作業の最中でした。

「遠田2号」という品種で、普通のスギ品種に比べて花粉の量が10〜15%ほどしかないとの事。
たしかに、周りの森林に生えているスギが雄花をたくさん付けて花粉を飛ばす準備万端であるのに対して、遠田2号の母樹には花粉を飛ばす雄花がほとんど付いていません。
花粉が少ないスギという事が一目瞭然、よく分かります。

母樹から切り取った穂=スギの赤ちゃんは、根が出るまでの1年間 敷地内で育てます。
去年採取され、今春 林業生産者に出荷される穂は、まだ頼りないもののきちんと根を張っていました。
この状態からさらに生産者の下で数年、30cm以上の苗木になって初めて山に植えられるようになるのです。
そこから花粉を飛ばすようになるまでは10年、20年とかかります。
何とも壮大なスケールの研究ですね。

宮城県の人工林は70%以上がスギで、その比率はとても高いそうです。
それだけ花粉症に苦しむ患者が多いと考えるのが自然であり、このような取り組みは意義深いものです。

20年研究して来て、ようやくココ2〜3年で育った苗木を実際に山に植える事業が始まったとの事。
登米市内の林業生産組合が毎年1,000本単位で花粉の少ないスギを植えているのだとか。
県としてもコレをビジネスチャンスと捉え、県内のみならず他県にもどんどん苗を売りこんで行ったら良いと思いました。



[平成22年2月3日(水)放送]
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「ゴールデンスランバーのロケ地 下水道に潜入!」

オール仙台ロケで公開中の映画「ゴールデンスランバー」。
その撮影場所のうちほとんど唯一、一般の方が立ち入り出来ない場所といえば、堺雅人さん演じる主人公の青柳雅春が逃亡する下水道ではないでしょうか?
映画をご覧になったM.N.ふじさんからも「どんな所なのか見て来て下さい」と依頼がありましたので、満を持して潜入しました!

太白区の長町南3丁目南公園が待ち合わせ場所。
仙台市下水道計画課の担当者は、映画の小道具として使われたというマンホールのふたを持って来て下さいました。
リアルに出来ているんですね。本物は60kg(!)あるという事で、軽々持ち運べる撮影用のふたが、実は映画の本編でもキーアイテムとなるわけです。

それはさておき、映画の撮影では通行止にした場所です。
この入口からは入れないので、別の安全な所に移動して同じトンネルに入る事にしました。
長町第1雨水幹線です。
初めての下水道……はしごを地下4階まで、踊り場を経由しながら下って行きます。
徐々に湿気を帯びて来る空気に地上との違いを感じますが、最深部に達しても臭いはありません!
そう……ここは雨水管。
下水道=汚水管というわけではないのですね。

長町第1雨水幹線は2006年に造られた雨水管で、トンネルの直径は4.25m。
太白区役所を起点に南の名取川まで1.9km、地下およそ20mの深さを走っています。
さすがにトンネルがデカい!ちょっとした地下鉄が入ってしまいそうな大きさです。
人が通る事は想定していないので、ライトを全て消してしまうと自分の手のひらも見えないほどの真の暗闇となります。地上では体験のできない世界です。

下水道計画課の担当者は、実際の映画の撮影にも立ち会ったそうです。
「機材の上げ下ろしが大変なのと、本番中スタッフの居るスペースがなくて苦労していたようです」とのお話でした。

ところで映画の中では、ココとは別の古い下水道も撮影に使われているという事で、そちらも案内して頂きましょう。

仙台市内の地下をくまなく走る下水道。
総延長なんと4,500キロあまり、普及率は山間部を含めて99%を越えます(汚水管)。
その歴史は古く、今からおよそ110年前の明治32年に東京、大阪に次いで全国で3番目に早く工事が始まりました。
何と当時の下水道の一部が、今も現役で活躍しているのです。
次に潜入する下水道は、仙台市内中心部を走るそんなトンネルの一部です。

定禅寺通の地下を広瀬川の方角に走る汚水管。
ココは生活排水も流れているため、別の穴から送風機で新鮮な空気を送りつつ、常に手元の機器で酸素濃度もチェック。
映画の撮影時と同じ、万全の態勢での取材となります。

さすがに先ほどの2006年完成の雨水管と違い110年前の汚水管は臭いも強烈ですし、コンクリートの構造物にも歴史が感じられます。
水洗トイレの普及以前に出来た下水道では、雨水と汚水を当時のまま、一緒に流しているのです。

水路のようになっている部分を、ゴウゴウと音を立てて流れる汚水。
大雨の時など、汚水は量を増し、縁を越えて溢れて来るそうです。ひええ!
溢れた汚水はレンガ造りの「放水口」を通って広瀬川に放出されます。
担当者いわく、そういう時は雨で薄まっているものだそうです。
とはいえ、汚水を広瀬川に捨てるなんて!?
「水質への影響は完全にゼロではない」との事ですが「それも下水道の現実として知っておいて頂きたい」というお話でした。
台所、トイレ、お風呂、どれも私達が日常生活の様々な場面から出す水なんですよね。

ちなみに汚水管の本線は宮城野区南蒲生の浄化センターまで通じていて、適切な処理を経たあと太平洋に流されているそうです。

映画 「ゴールデンスランバー」。
堺雅人さんは今回の映画で「下水道での撮影がいちばんハードで印象的だった」と話しています。
仙台市下水道は今年110周年を迎えました。
その節目の年に素晴らしい映画の撮影舞台となった事を、下水道職員の皆さんも誇らしく思っているようでした……。



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