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●Disc.47
「空き缶はつぶして捨てちゃダメなの?」
今回は、仙台市M.N.まもママさんから
「缶を捨てる時つぶしてはいけない……と聞いたのですが本当ですか?理由は?」
というご質問です。
驚きました。僕も全然、知らなかったものですから。
むしろ容量を減らして捨てたほうが親切だろうと思い、ガシガシつぶしていましたよ!
桜の名所・榴岡公園でお花見を楽しむ皆さんに、空き缶の捨て方を聞いて回ったところ、「知ってる」という方は半分ほどいましたが、その理由となると分かる人はほとんどいませんでした。
空き缶の捨て方、謎だらけですので、仙台市役所に尋ねる事にしました。
リサイクル推進課の遠藤課長によれば、確かに仙台市では「空き缶をつぶして捨てないで」という指導をしているそうです。
理由@ アルミとスチールの選別に支障が出る。
缶にはスチールとアルミ、素材の違う2種類があります。役目を終えたあと金属資源として再利用するには、それぞれ不純物が入らないよう、きちんと分けなくてはなりません。潰れた缶が混じると、その選別作業に支障が出るというのです。
理由A うまくプレス出来ない。
むむ!これだけでは何だかよく分かりませんよね???
「百聞は一見に如かず」という事で、私達は実際のリサイクル現場を見せてもらう事にしました。
青葉区葛岡の資源化センターには、仙台市内の6割余りにあたる、1日およそ7,000kgの空き缶がリサイクルのために搬入されています。
持ち込まれた空き缶や空き瓶、ペットボトルなどの資源ゴミは、早速人の手や機械による選別が始まります。
仙台市環境整備公社の藤澤清さんが案内役です。
最初の選別機械では、まずスチール缶を分けて行くそうです。
鉄が磁石にくっつく性質を利用して、スチール缶だけを強い磁力で吸い上げるのですね。
潰れた缶が混じっていると、ペットボトルなど他のゴミを引っ掛けて巻き込んでしまう恐れがあるといいます。
スチール缶を取り除いたら今度は、アルミ缶を分ける工程。
電流を帯びたアルミニウムが磁石の力で自由に動かせる性質を利用し、アルミ缶だけを飛ばします。
この機械も、潰れた缶が入ると作動不良を起こしてしまうといいます。
実際にアルミ缶を取り除く機械は、間口が狭い事もあって異物が入ると1日に2度3度と止まってしまうそうです。
さて。選別されたアルミ缶とスチール缶は、リサイクル工場まで運びやすいよう、それぞれ機械によるプレスが行なわれます。
ココでも、つぶれた缶が混じると良くないという話でしたよね……。
藤澤さんによれば「リサイクル工場に運ぶために缶を圧縮してブロック状にするのですが、最初からつぶれた缶が入る事で、成型品として柔らかい物が出来てしまうそうです。
噛み合わせが悪くなるのですね。
ためしに潰れた缶が多く含まれたサンプルを作って頂きましたが、たしかに手でバラバラと簡単に崩れてしまいました。
これでは金属加工工場まで持って行く途中で、安定せずに危険な事もありそうです。
「選別」と「圧縮」。それぞれに支障が出てしまうから、缶はつぶして捨ててはいけないのですね。
よ〜く分かりました。
……って、ゴミの捨て方にはよくある話なんですが、実は県内の各市だけを調べてみても空き缶の捨て方はまちまちなんですね。
今回ご紹介したのは仙台市でのお話。宮城県では半分以上の市が、空き缶はつぶして捨てるよう指導をしているのですが、こうしてバラバラな事も我々が分かりにくいと感じる原因ではないでしょうか?
また、隣り合った市町村で同じ処分場を使っているのに捨て方が違ったり、市役所の担当部署の人がすぐに答えられなかったり……というケースもあって、ルールとして本当に意味があるのか疑問も感じました。
何にせよ、ゴミの捨て方に迷ったら自分で判断せず、お住まいの自治体に問い合わせてみて下さい。
自治体としても、そうした市民の疑問には明確に答える必要があると感じました。
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