ど〜なの?DJ
皆さんからの素朴な疑問・質問にお答えするべく
DJ淳吾が調査・奮闘するコーナー。
なんでも聞いてください!お待ちしています。


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[平成22年6月24日(水)放送]
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「四つ葉のクローバーの謎」

今回は、泉区にお住まいのM.N.ひろママさんから頂いたご質問。
「幼稚園生の息子と四つ葉のクローバーを探したら、すぐにいくつも見つかりました。『最近増えてるの?』とママ友の間でも話しているのですが」という内容です。

公園や河川敷などで、四つ葉のクローバーを探した事のある方は多いはず。なかなか見つからないだけに、出会えた時の喜びも、また格別なんですよね。
それが増えているかも……なんて話、確かめないわけには行きません。

四つ葉のクローバーはその珍しさも手伝い、見つけてラッキーな縁起物として世界中で古くから親しまれて来ました。
特に欧米では、キリスト教の十字架に形が似た幸福のシンボルとして、アクセサリーのデザインやスポーツカーのエンブレム、はては戦闘機のマークなどにも見られる、人気のモチーフなのです。

僕も仙台市内をあちこち場所を変えて探してみましたが、取材当日があいにく(?)の炎天下という事もあって、体力の消耗はかなりものです。
おまけに腰も痛くなって来てしまいました。あと目も疲れますね(笑)。
結局、太白区の三神峯公園でようやく、少し欠けてはいるものの、四つ葉を発見したのでした。

その後もすぐ近くで2つほど見つける事は出来たのですが、広い三神峯公園でも探すのに苦労した四つ葉のクローバー。本当に増えているのでしょうか?

疑問を解明すべく、東北大学農学部を訪ねました。
園芸学の専門家である金山喜則准教授にまずは、クローバーが一体どんな植物なのか……といったお話から伺います。

金山先生によれば、クローバーは北半球の温帯地方を中心に分布するマメ科の植物。世界中に約300種類が存在しているそうです。
やはり温帯地方に含まれる日本では、クローバーをあちこちで見る事ができます。
中でも圧倒的に多いのが、白い小さな花を咲かせるシロツメクサ。
江戸時代にオランダからの貿易船とともに入り込んだ、ヨーロッパが原産のクローバーです。
今や日本でクローバーといえばコレを指すぐらいに、ポピュラーな種類です。

しかし肝心の、四つ葉が増えているかどうかは「分かりません」と、金山先生はおっしゃいます。
それを確認するためには、ある程度の大規模で客観的な調査が必要というわけです。
短時間にある程度の数を見つけた場合でも、それはたまたまかも知れないし、全体としての傾向がつかめるほど大規模な調査は、知るかぎり行なわれていないというのです。

あらら、どうしましょ?
僕はココで、少し質問を変える事にしました。そもそも本来三つ葉のはずのクローバーに、なぜ四つ葉の物が出来るのでしょうか?
ココからの話がとっても深くて「へぇ〜」という内容だったのです。
詳しく知りたいという方は、左の映像も参照されながら読み進んで下さい。

まず、四つ葉のクローバーが出来る仕組みには大きく2つあるという事。順にご紹介しましょう。

A.「遺伝的プログラムの実行ミス」
遺伝的プログラム……すなわち遺伝子とは、生き物にとってのいわば設計図の事。動植物を形作る情報が書き込まれているものの、ごくまれに図面どおり建築が進まず、計画とは異なる建物=つまりこの場合、四つ葉になるというわけです。

B.「遺伝的プログラム自体が書き換わる」
本来三つ葉を作るはずの設計図そのものが、ごく低い確率で書き換わってしまう場合があるといいます。

金山先生によれば、パターンA.によって四つ葉が出来ても、周りに同じような四つ葉が増えるとは限りませんが、パターンB.の仕組みで四つ葉になった場合は、同じ根っこでつながっている株をはじめ、周りにも四つ葉が増えるかも……というのです。四つ葉のクローバーに次々出会えたら夢のような話ですが、一体どういう事でしょうか!?

答は、パターンB.「遺伝的プログラム自体が書き換わる」メカニズムの正体にありました。
この現象は一般的に「突然変異」と呼ばれる物だそうです。
ご存知の方も多いと思いますが、突然変異はある程度の確率で子孫にも同じ性質や形態が現われます。つまり「遺伝」します。

四つ葉のクローバーを1つ発見したら、近くでも立て続けに見つかったという経験はありませんか?
こうした場所では、突然変異の株だけでなく周りに増えた子孫からも、通常より高い確率で四つ葉が出来ていたのです。

あとはパターンB.によって出来た四つ葉の場所が分かれば良いのですが、話はそう簡単には行きません。
少なくともA.とB.の違いは見た目で分かるような物ではありませんし、クローバーの突然変異がなぜ起こるか……原因の特定ができないため、そういった場所を見極める事もまた、非常に難しいそうなのです。残念!

それでも四つ葉のクローバーを見つけたいという方へ、金山先生から最後にとっておきのアドバイスを頂きました。
探して探してやっと1つしか見つからないような場所は、パターンA.による四つ葉の発生が考えられます。
そういう場所では、周りですぐに別の四つ葉を見つけるのは難しいと言えます。

そこで、しばらく見つからなかったら場所を変えてみる……その繰り返し。
コレに尽きるそうです。

考えてみたら、幸運を運ぶとされる四つ葉のクローバーが芋づる式に見つかってしまっては、全然ロマンチックぢゃありませんよね。
久々に童心に帰って四つ葉のクローバーを探した末のDJ取材は、かえってその神秘性を高めてくれたような気がしました。



[平成22年6月9日(水)放送]
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「アメンボはどこからやって来る?」

今回は、加美町で農業を営む M.N.カブトエビちゃん
「毎年、田んぼに水が入るとアメンボがいつの間にかやって来ます。今年もそうです。一体どこから来るんですか?」
という内容です。
たしかにウォッチン田んぼにも、順調に生育しつつあるイネの周りをいつの間にかアメンボがツツーッと漂っています。不思議ですね。

田んぼのすぐそばに水を張ったバケツを置き、アメンボが現われる様子を観察です。
はたして彼らがやって来る瞬間を、映像に収める事が出来るのか? 固定カメラを設置して、その時を待ちますが……。

15分ほど待っても、アメンボがバケツにやって来る気配はありません。ためしに、アメンボが何を食べるかはよく分からないのですが、サケのおにぎりをおすそ分けする事にしました。
ご飯粒とサケの一部をつまんで水に落とし、さらに待つ事30分………………。

…………アメンボ大集合作戦は、あえなく失敗しました。アメンボは全然現われる様子がありません。
ハァ〜がっくし。

謎を解くために、仙台市科学館を訪ねました。
昆虫に詳しい佐藤賢治先生に、今回のアメンボに関する質問、ズバリお答え頂きます。

佐藤先生から語られたのは、驚きの真相でした。
「アメンボは空を飛んで移動して来るのです」
おお〜その手があったか(笑)!どこからという場所は特定できませんが、他の水場から飛来するというのです。

普通 トンボやカブトムシ、チョウチョなど昆虫には4枚の翅があり、飛び方はそれぞれ違うものの、空中を移動できるのが特徴です。
アメンボも昆虫の仲間。やはり4枚の翅を持ち、空を飛ぶ事が出来るというわけです。
しかし肝心の、アメンボが飛んでいる姿を見た事がないのですが。

その点について佐藤先生は「小さな虫なのでなかなか気付かないのかも」と、話していらっしゃいました。
アメンボが飛ぶというイメージもありませんでしたからね。気付かないうちに見ていた可能性は十分ありそうです。

さてそれでは、アメンボはなぜ水のある場所に移動して来るのでしょうか?
答は、エサを求めて。
アメンボは水に落ちて来る虫を待っていて、体液を吸って生きているのです。針のような吸い口を突き刺すのだそうです。
アメンボはあくまで水面に浮かぶ虫をエサにしながら、水場を移動していたのですね。

そういえば、田んぼのそばに置いたバケツ。本来 食べる事がないおにぎりのかけらが、しかも水に沈んだ状態では、集まって来るはずもありませんでした。

と……ココで佐藤先生に、アメンボに関する驚きの事実を教えて頂きました。
何と!アメンボはカメムシの仲間だったのです。
カメムシも刺す口を持っていて、近縁なのだとか。
という事は、アメンボって臭いんでしょうか!?
実は「アメンボ」という名前の秘密はこんな所に隠されていました。アメンボは飴のような甘いにおいがする事から、その名が付いたというのです。

そこで実験。アメンボをビーカーに入れて、実際ににおいを嗅いでみましょう。ビーカーに元々付いていたにおいも多少はありそうですが、集中してかぎ取ると何だか「菓子パン」のような香りがします。
言われてみれば何となく……といったレベルではありますが、たしかに甘いにおい!人によってはコレを「カンロ飴」などと表現するそうですが、何にせよ昔の人の感受性の高さには驚くばかり。
僕はこのにおいを嗅いで「アメンボ」という名前を付けようという発想すら湧きませんから。

アメンボは臭腺と呼ばれる器官から匂い成分を分泌します。このにおいは仲間とのコミュニケーションや、身を守るのに利用すると考えられています。

ココまでアメンボの生態について色々な話を聞きましたが、最大の特徴はやはり「忍者のように水面に浮く事」ではないでしょうか?
アメンボの脚には細かい毛がびっしり生えているうえ、油分を分泌するそうです。これによって水を弾いて水面に浮いているのですね。

しかし、仮に生活排水などで水が汚染されると、アメンボは溺れてしまうかも知れないと佐藤先生は言います。
特に、油を分解するような洗剤系の汚水では、アメンボは水を弾けなくなって沈んでしまいます。
水中ではアメンボは呼吸できませんから、やはりそういう環境では暮らせないという事になりますね。

後記:
どうしてもアメンボの飛んでいる所を見たくなりました。そこでカラの洗面器にアメンボを何匹か捕まえて放し、様子を観察していたところ……5分ほどで決定的な映像を収める事が出来ました!
さすがに飛び立った後の軌跡をカメラでフォローする事は出来ませんでしたが、貴重な(いや、普段から知らずに見ているかも知れない?)アメンボの飛び立つ姿です。
めでたしめでたし。


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