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●Disc.59
「仙台牛ってどんな牛肉?」
今回は県内産のブランド牛「仙台牛」についてご紹介します。
名前を聞いた事はあっても「じゃあどんな牛?」と聞かれると、実はよく分からない方も多いのでは?
さっそく、リサーチ開始です。
仙台市中央卸売市場で行なわれた仙台牛 枝肉共進会にお邪魔する事にしました。
年に1度の大規模な催しで、県内産の牛肉が格付けされた後、次々せりにかけられて行きます。
この日は黒毛和種199頭が出品されました。
中に入ると、枝肉が所狭しと吊るされていて圧倒的な迫力です。
でも、これが全部「仙台牛」というわけではないそうです。
これから審査を経て初めて、仙台牛かどうかが決まるのですね。
牛肉には肉の色や霜降りの度合い、取れる量などから、全国共通の格付けがあり、仙台牛と認められるのは、このうち県内産のA5・B5の肉だけなのです。
これに対して、例えばブランド牛の代表格である松坂牛は、地元で育てられた、子どもを産んでいないメスの黒毛和牛全般を指し、肉質を問いません。
こうした幅広い等級を含むブランド牛も多い中、仙台牛の基準は日本一厳しいといいます。
ちなみにコレまで仙台牛に認定された牛は、出荷されたうちの35%ほど。
丹精込めて育てる手間を思えば、やはり狭き門をくぐり抜けたブランド牛といえるでしょう。
今回の品評会にあたって、取材班は登米市南方の生産者である佐野和夫さんをクローズアップしました。
佐野さんのお宅では、50年ほど前から黒毛和種の肉牛を育てています。
ここ最近、出荷したウシ達の半分ほどが仙台牛として認められている、優秀な生産者なんですよ。
事前に牛舎に伺って取材もさせて頂きましたが、朝昼晩ときめ細かく牛の体調を把握し、消費者に喜ばれるお肉を作っているのです。
佐野さんは今回、自慢の牛を一頭出品しました。
ベテランの生産者でも、やはり格付けを待つ間は緊張するそうです。
肉質5等級、つまり仙台牛になるかならないかでは、その後のせりでの価格がまるっきり違って来るそうです。
格付けとはすなわち、生産者としての命運を分ける評価でもあるのです。その表情には自然と、期待と不安が入り混じります。
出品された牛肉の格付けが、次々と進められて行きます。複数の審査員が枝肉を囲み、肉の様子を詳しくチェックします。
佐野さんが丹精込めて育てた牛肉の評価は……A5!
いやぁ佐野さんもホッとした様子。
僕も安心しました。佐野さんの牛が仙台牛と認定されたのです。
そしてせりです。\2,000/kgを越える値で取引されれば上々といった状況の中、佐野さんの牛についた価格は\2,313/kg!
佐野さん、本当に満足そうな笑みを浮かべていました。
ちなみに品評会でチャンピオンになった牛は、ご祝儀相場も手伝って何と\5,430/kg!!
この日の品評会では、199頭のうち、何と6割近い119頭がA5・B5の格付けを与えられ、はれて仙台牛として競り落されて行きました。
厳しい基準とたゆまぬ努力で、仙台牛の名を全国区に……。生産者の熱い思いが、今日も美味しい牛肉を生み出しています。
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