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●Disc.74
「駅から365歩ってホント?」
今回は、仙台市内にお住まいのM.N.ミカタカママさんから、ご質問を頂きました。
「中心部のアーケードに、駅から365歩というキャッチフレーズの時計屋さんがありますが、本当に駅から365歩なんですか?面倒くさいので調べて下さい」という依頼内容です。
♪駅から365歩 時計と宝石 三原堂〜
……というコマーシャルソングでも知られる、老舗時計店「三原堂」。
はたして本当に、仙台駅から365歩でピッタリたどり着く事が出来るのか?
実際に検証してみようというわけですが、さすがに駅構内の改札口から来るとアッという間に365歩に達してしまいそうなので、ひとまずペデストリアンデッキの真ん中辺りから始めてみましょうか。
正確なスタート地点に疑問を残しつつの出発となりましたが、デッキを下りる階段の途中ですでに100歩に達してしまい「おいおい、コレは絶対に365歩では三原堂まで行けないでしょ」と、疑心暗鬼になる僕。
結局、最初の歩測では2本目のアーケードを入って間もなく……三原堂まで50m近くを残して365歩に達してしまいました。
やはりスタート地点が悪かったのか!? あいにくの炎天下ではありますが、再挑戦です。
今度はペデストリアンデッキを下り切った所から再スタート。
「駅」と呼べるのはギリギリこの辺りまでですからね!
コレなら、さっきより少ない歩数で三原堂に着けるはずです!
ふぅ〜やれやれ。1,2,3,4,5,6,7,8,9,10――。
しかし今度もまた、三原堂まで20mほどを残して365歩に達してしまいました。
残念!結局そのまま歩測を続け、三原堂にはたまたま、駅から400歩というキリの良い歩数で到着したのでした。
さしづめ「駅から400歩の三原堂」というわけです。
それにしても、一体どういう事でしょうか?相談役の三原一郎さんに伺います。
365歩では来られなかったのですが、そもそも365歩のキャッチフレーズはどんな経緯で付けられたものなのでしょう。
相談役いわく「昭和51年に新装開店した際、三原本店(!?)と間違われないように、当時流行っていた水前寺清子の『365歩のマーチ』をヒントに考え出した」との事です。
パンチがあって良かったんだね……とおっしゃる相談役。
しかし、お話を聞いてふと気になったのが「三原本店と間違われないように」という一言。
いま僕がお邪魔しているのは、三原堂。三原本店は、一番町の藤崎の隣。
もしかして違うお店なんですか!?だとしたら、ちょっと紛らわしい感じがするのですが……。
実は、元々の「三原時計店」創業者である初代 三原庄太の三男・健資(けんすけ)が昭和7年に一念発起、独立して開いたのが、今お邪魔している三原堂だったのです。
お話を伺った相談役の一郎氏は、健資氏の息子にあたります。
一方の三原本店は、初代・三原庄太の長男である二代目・庄太が経営を引き継いだというわけですね。
詳しくは家系図をご参照ください。
なお、黒枠は故人です。
「店を間違えて来てしまう方もいるのでは?」
僕の問いに、相談役は「ほとんどいません。100人に1人ぐらいかな」と、冗談めかして答えて下さいました(笑)。
こうなったら青葉区一番町、三原本店でも話を聞かなければ!
コチラは創業、明治20年という老舗です。
社長の三原喜八郎さんに両店の関係をあらためて聞きますと、やっぱり親戚同士というお答えでした。
ただし三原本店のほうでは、 「駅から365歩」 といったキャッチフレーズなどは特に設けていないようです。
ところで東日本大震災の後、高額な時計や宝飾品の売上に変化があったと聞きましたが、いかがでしょうか?
喜八郎社長によれば「地震保険が下りた事や、大事にしていた時計などが流されたり壊れたりしたために買い換える方が多いのでは?」
というお話でした。
両店とも、前年同月比2〜3割増との事です。
最後に。つかぬ事を伺いますが、三原本店は三原堂と仲が良いのですか?
ちょっとドキドキしながら質問しましたが、喜八郎社長の答えは「そりゃあもちろん!」と力強いものでした。
仲が良い証拠として、両家のお墓は隣同士だそうです。
お互い、同業者として情報を交換しながら切磋琢磨しているライバル……という事なのですね。
老舗時計店の謎にまで広がった、今回のリサーチ。いかがでしたでしょうか?
皆さんからのご質問も、お待ちしております!
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