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●Disc.86
「震災で県内のダムに被害は?」
これから雪解けの時期という事もあって、今回はダムに注目しました。
ダムの防災対策についての「DJ」です。
去年3月11日。震災で震度6強の揺れを観測した福島県須賀川市では、農業用の藤沼ダムが決壊して下流の民家などが流され7人が死亡、1人が行方不明となりました。
では震災で宮城県内のダムに、このような被害や影響はなかったのでしょうか?
青葉区西部にある大倉ダムを訪ねました。
広瀬川上流の大倉ダム は、仙台都市圏の主要な水がめとして1962年=昭和37年に造られてから丸50年。宮城県が管理するダムとしては、県内最大の規模を誇ります。
大倉ダムは、アーチ式のコンクリートダムが2基 連なった構造のダブルアーチ式ダム。
何でも、日本にココ1ヵ所しかないそうです。建設当時の調査の結果、工期が短く、工費も抑えられ、しかも元々の地形に向いている形との事で採用されたのだとか。
大倉ダム管理事務所の松澤所長に、ご案内をお願いします。
まずは、ダムを見下ろして湖面に氷が張っているのにビックリ!この日は、暴風警報が出ていた事もあって、寒い寒い!!
気になる現在の貯水率はというと、松澤所長によると21.5%。例年のこの時期に比べると少し低い数字との事ですが、それというのも今年は寒くて雪解けが進んでいないために水の量が増えないのだそうです。
ただし、雪が多かったという事は今後、水不足の心配はないとのお話。
しかしこんな所にも、まだまだ寒い今シーズンの影響が出ているんですね。
それでは、いよいよ本題です。
震災で、大倉ダムに被害はなかったのでしょうか?
松澤所長 「ダム本体に被害はありませんでした」
なるほど。
しかし、大倉ダムから5 kmほど下流……仙山線 陸前白沢駅近くにある水位観測所が、使えなくなってしまったそうです。
現在、仮の機材で観測を続けていますが、6月をめどにすぐ近くの別の場所で本格復旧を見込んでいるという事です。
たしかに観測所背面の崖が、相当な高さで土砂崩れを起こしていました。
ではそもそも、ダムの耐震性はどうなっているのでしょうか?
大倉ダムの場合、建設当時の基準に対応するように設計されたものの、その後2003年に取水口を新たに設置した際、最新の設計基準もクリアしている事を構造計算で確認しているそうです。
宮城県によると、一般にダムの寿命は計画上100年程度とされているものの明確な定義はなく、老朽化による再建なども国内では過去に例がありません。
今回、宮城県が管理する県内12のダム、さらに釜房湖など国が管理する3つのダム本体に、震災による被害はなかったという事です。
また、万が一の停電に備えそれぞれのダムが自家発電設備を持ち、さらに水力発電で起こした電気を自家消費できるダムもあるそうです。
水がめであると同時に、治水、発電など様々な用途を持つダム。
私達の生活に欠かす事が出来ないものである以上、その防災対策や緊急時の態勢に、関心を持つ必要があると感じました。
※ ちなみに大倉ダムは去年8月に県が命名権を売却し、仙台の産業廃棄物処理企業と契約を締結。
「仙台環境開発 大倉ダム」という名称になっているそうです。知りませんでした!
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