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●Disc.122
「田んぼに転がる緑の袋!その正体は?」
三陸道を運転していたドライバーの方から「矢本IC近くの田んぼに大量の緑色の袋が!あれは一体何なんでしょうか?」という調査依頼を頂きました。
さっそく現場へ急行。情報どおり、矢本IC近くの田んぼに数えきれないほど沢山の緑色のビニール袋が転がっているのを発見!一体これは何だ!?
近付いて袋の中身をあらためてみたところ、お米を脱穀したもみ殻が入っていました。
でも、ここら辺一帯の田んぼから穫れるお米の量にしては多過ぎるように思われます。
近所を聞き込み……といっても通行人が見当たらなかったので、近くの会社を訪ねたり、民家にお邪魔したりしました。 しかし皆さん、「分からない」とか「パイプを埋めて、その上をもみ殻で囲う」など、知識のない僕にとっては正直要領を得ないお話ばかり。
ただ聞き込みの結果、複数の方から出て来たキーワードが「暗渠(あんきょ)」という言葉。地面や蓋で覆われた水路という意味です。
積み上げられたパイプ。そしておびただしい数の緑色の袋に入ったもみ殻。暗渠排水とは一体何をどうする事なのか、きちんと知りたくなりました。
一週間後。この日は重機が入って作業が行われ、関係者に話を聞く事もできるというので、再び現場を訪ねました。 宮城県東部地方振興事務所の後藤さんにお話を伺います。
まずは何と言っても「暗きょ排水」という工事が何なのか、でしょう。
後藤さんによると、田んぼの水はけを良くして農作業の効率化を図る工事なのでそうです。
具体的には、大型の機械が入りやすくなったり、コメ以外の畑作物を育てる事ができるようになるのだとか。
とにかく作業を見せて頂きます。 重機に近付くと、ごう音を立てながら何やら田んぼを掘っています。
後藤さんによると、これはトレンチャー(トレンチ=「溝」を掘る機械)と呼ばれる物で、60〜80cmほど掘った溝に、ポリエチレン製の排水管を人力で設置。
この排水管には水を集める穴が無数に開いていますが、土を直接かぶせると穴が詰まってしまうため、粒の大きなもみ殻で覆うのです。
もみ殻の間を、排水管に向けて水が集まるというわけですね。
水はけを良くすれば、水田から畑への切り替えもスムーズに出来、様々な作物を育てられる土地になるといいます。暗渠排水工事は、土地を最大限有効利用するための手続きなのかも知れません。
昔は素焼きの土管や竹を埋めていた事もあるという、この暗渠排水工事。本格化したのは戦後の食糧増産時代の事で、昭和40年代末期には今の形になったと言われています。
今回取材した暗渠排水工事は、矢本IC北側の田んぼの大規模区画整理に伴って地元の要望で工事が決まりました。事業規模はおよそ1億円。95haを田植え前までに終わらせる計画です。
ちなみに田んぼ1枚分の暗渠排水工事をするのに、もみ殻はほぼ田んぼ10枚分必要……との事。
もみ殻はお米を食べた後でも、こうした形で役に立っているという事を初めて知った、今回の「暗渠排水工事」の取材でした。
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