『ありふれたくじら』という鯨の本。
各地の鯨にまつわる伝承がこまかに書かれています。
作者の是恒さくらさん。
芸術家であり、研究員としての顔も持っています。
アラスカ州立大学を卒業した是恒さんは、
先住民の鯨文化に触れる機会がありました。
その後東北に住むようになり、沿岸のくじら文化と出会います。
それから、アラスカで触れたくじらへの興味を思い返し、
調査や制作活動を始めたのです。
地域の人々に話を聞き、人々の生活と密接に関わってきた
鯨の世界にどんどんのめりこみました。
“鯨文化”は、対立を生んでいる側面もあるが
地域性という観点でみると国や地域間で共通項もあることに
様々な取材を通して気づきました。
是恒さんは、自分の興味・関心を人に伝える手段として
この本『ありふれたくじら』を制作したのです。
この中の絵、実は是恒さんがひと針ひと針さした刺繍。
鯨と人々の営みが丁寧に表現されています。
是恒さんは、自主制作の出版で鯨の世界を伝えるほか、
刺繍などの作品を集めた個展などを開き
精力的に活動を続けています。