『原木しいたけ』とは、木の養分と水で栽培されるしいたけのこと。
木から生まれる、まさに“木の子”です。
その原木しいたけを栽培している農家の熊谷幸夫さんは、
全国の品評会で何度も優勝しているしいたけ名人です。
約40年、地元で木を切り、ホダ木(きのこの種菌を植える丸太)にし、
自然の力でしいたけを栽培してきました。
東日本大震災で起きた福島第一原発の事故により
地元の木から放射性物質が検出され、
露地栽培のしいたけを出荷できなくなってしまいました。
処分した原木は7万本、廃業を覚悟。
そんな矢先、県から知らせがあり
熊本県からの支援で5000本もの原木が寄付されました。
しかし、気候の違う土地で育った原木、
すぐに今までどおりに栽培することはできません。
2年間は失敗の連続。
試行錯誤をし、ようやく熊本県の原木で育てたしいたけが
できました。
放射性物質も不検出です。熊谷さんのしいたけ作りが蘇りました。
今年の干ししいたけ品評会では林野庁長官賞を受賞しました。
そして、熊谷さんの原木しいたけに惚れ込んでいる仲間が
様々な形で背中を押してくれます。
安心安全、原木しいたけのおいしさを料理で。
しいたけ作りの先輩たちとともに
植菌体験などを通してのPRをイベントで。
仲間と一緒に奮闘していると気持ちも楽になるし、
張り合いになる。
この先減ってしまうかもしれないこういった生産者と作物は、
私たち現場(の人間)が携わって守っていきたいと
熊谷さんは話してくれました。