題字:加藤登紀子

想いの足跡

◆桂島うたプロジェクト「わせねでや」に寄せて (ヒザシ)
 震災直後の避難所で綴られた一編の詩がありました。 美しい桂島の景色や島に住む人たちへの思いが綴られたその詩は桂島に生まれ、桂島で育ち、桂島を愛する内海和江さんが綴ったものでした。 優しさと美しさで溢れたその詩がTBC東北放送「ウォッチン!みやぎ」で放送されたのを見た時、僕は感動と衝撃を覚えました。

 「どうにかしてこの美しい詩を残したい。より多くの人に感じて欲しい」

 僕は強くそう思い、この詩に曲をつけて形にする事でその一歩が踏み出せないかとすぐに東北放送に連絡をしました。それが「桂島うたプロジェクト」の始まりでした。 プロジェクトは多くの皆さんに賛同を頂きながら今現在も進行中です。

 さて、大きく言えば僕達の住む日本も”島”のひとつだと僕は思います。今回の楽曲「わせねでや」は桂島という”島”を舞台に描かれた詩ですが、内海さんが詩に込めた思い、それは日本列”島”に住む人たちも共感し得るメッセージだと思うのです。そしてそれを感じる優しい心を誰もが持っていると信じています。

 この震災で再発見され、誰もが感じた「人の優しさ」「故郷への愛」を忘れる事のないように、100年後もその先も多くの皆さんに歌い継がれるような曲になればと思います。

 どうか皆さんに忘れないでほしい優しい気持ちです。わせねでや。